日本救急医学会関東地方会雑誌
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症例報告
浮動性めまいで発症し顔面神経麻痺を伴わない不全型Ramsay-Hunt症候群の1例
古澤 恭平中野 貴明杉浦 潤金澤 将史杉村 真美子伊藤 敏孝
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2020 年 41 巻 3 号 p. 369-372

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抄録

顔面神経麻痺を伴わないRamsay-Hunt症候群 (以下Hunt症候群) の1例を経験した。Hunt症候群は耳介帯状疱疹, 末梢性顔面神経麻痺, 第8脳神経症状を三徴とする水痘帯状疱疹ウイルス感染疾患として知られている。三徴のいずれかを認めない症例の報告もあるが, 顔面神経麻痺を認めない不全型Hunt症候群は稀とされている。不全型Hunt症候群は診断に難渋する例が多く, 本症例も診断まで11病日を要した。顔面神経麻痺を伴わない不全型Hunt症候群では難聴の予後が悪く, 本症例でも聴力低下は改善を認めなかった。既報告例によると, 早期の診断と治療介入が難聴の予後に寄与しうると推察されたため, めまいや頭痛を主訴とした症例で顔面神経麻痺を伴わない場合でも, Hunt症候群を鑑別にあげ, 耳介周囲の帯状疱疹の有無など全身観察が必要である。

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