抄録
日本が障害者の権利に関する条約に批准して以降、アクセシビリティなどに関する合理的配慮につ
いては、福祉教育やボランティア学習の分野でも議論が進みつつあるが、同条約の第二十三条で述べられ
ている障がいのある人のセクシャルライツとボランティア学習については、研究は多いとはいえない。本
研究では、筆者らによるフィールドワークに基づき、知的障がいのある人のセクシャルライツを支えるボ
ランティア団体の現状や意義を明らかにすることを目的とした。研究は、フィールド調査に基づき、活動
に参加する知的障がいのある本人、その保護者、ボランティア間のナラティブのトランスクリプト及びボ
ランティアのフィールドノーツを分析対象としたが、学校教育では、推進されていない知的障がいのある
本人を含んだセクシャルライツに係る主体的変容学習がボランティア団体では行われており、今後のボラ
ンティア学習での焦点群となる可能性も示唆された。