抄録
本稿においては、「持続可能な開発」を基軸とした学習支援の理論的基盤の構築を目指す研究として、
ESDに資する実践としてのサービス・ラーニングの可能性を検討し、その実践上の課題を明らかにするこ
とを目的とした。そこで、まずESDの学習論及びその課題と、サービス・ラーニングの歴史的背景を概観
した上で、定義と鍵概念を整理し、その課題を明らかにした。それらを踏まえ、ESDの視点からサービス・
ラーニングの学習概念の核となる「変容的学習」と、その学習が前提とする「市民像」と「コミュニティ」、
基盤にある「政治性」及び「互酬性」概念について先行研究に基づいて考察し、ESDとしてのサービス・ラー
ニングの要件を明らかにした。サービス・ラーニングは、ESDにおける「持続可能性」概念に触れること
で実践の質的な変容がもたらされ、ESD「実践共同体」の形成と、相互変容的な学習を促進する可能性を
有すことが明らかになった。