抄録
本研究では福祉教育における振り返りの重要性への示唆を得る意図から、デューイの教育哲学における「経験」・「反省」概念を検討し、そこから2つの命題を特定した。それは第一に、青少年のこれまでの経験とそれによる思考過程を踏まえなければ、福祉教育体験も適切な学びとはならないことが想定されるということ。第二に、福祉教育の目的を達成するには単純なボランティア体験では不十分で、それを適切に振り返る教育的働きかけが必要という命題である。命題からそれぞれの検証課題を設定し、オープン・データの探索的二次分析を行った。その結果、学校生活で生徒らは「貧困なる福祉観の再生産」をすでに身につけている可能性もあり、福祉教育実施と振り返りに際しては青少年の多様な経験による多様な思考形成を考慮し行う必要があること。そして、適切な振り返りを伴わないボランティアは必ずしも教育上好ましい態度の変容につながるとは限らず、教育的働きかけが重要なことなどが示唆された。