抄録
本研究は、高校生が支援者として関与する高齢者向けICT教室への参加が、高齢者のICT活用意欲および生活意欲にどのような変容をもたらすのか、そのプロセスと高校生の役割を明らかにすることを目的とした。東京都A区のスマホ教室に参加した高齢者8名への半構造化インタビューに基づき、質的分析を行った。 分析の結果、高齢者のICT学習を阻害する主因は、技術的側面よりも心理的障壁にあった。高校生は、専門的権威や家族間の遠慮が生じないナナメの関係として、障壁を緩和する感情的サポーターの機能を果たしていた。また、支援を通じた成功体験の蓄積が自己効力感を高め、学習動機が社会的要請から内発的な探究心へと変容するプロセスが確認された。さらに、スキル習得のみならず世代間交流そのものが社会的有用感をもたらし、生活意欲の向上に寄与していた。本研究は、高校生が技術支援を超えて心理的障壁を解消する役割を担うメカニズムを明らかにした点に意義がある。