生命倫理
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看護学生の死の概念と臓器提供の意思
白浜 喜恵子
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2002 年 12 巻 1 号 p. 147-153

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抄録
1997年に制定された臓器移植法は,これまでの死の概念と移植医療に大きな変化をもたらした。この法律に基づく初の脳死判定と臓器移植が実施された約1年後に,国立S医科大学の看護学生263名を対象に,質問紙を用いて死の概念と臓器提供の意思を調査した。結果,以下のような知見を得た。1)死の三徴候が確認された時点を死と判断する学生が最も多かった。学年間で有意差が見られなかった事から,死の概念形成には教育カリキュラム以上の要因が関与していることが示唆された。2)約90%の学生が,移植のために自分の臓器を提供する意思を有していた。3)脳死を人の死とする学生群では,従来の死を支持する学生群に比べて,脳死状態からの臓器提供意思が有意に高く,生存中ならびに心臓死後の提供意思が有意に低かった(p=0.001)。背景に,脳死に関するこれまでの啓発や教育の影響が考えられた。
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2002 日本生命倫理学会
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