生命倫理
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重症新生児の治療方針 : 親の意思決定責任を中心に
櫻井 浩子
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2011 年 21 巻 1 号 p. 85-93

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抄録

本稿では、日本の重症新生児の治療方針決定における親の意思決定責任のあり方を考察するために、オランダの「フローニンゲン・プロトコール」を取り上げ、比較検討する。近年、日本を含め諸外国では、重症新生児の治療方針決定のための話し合いのガイドラインが公表されており、新生児の法定代理人である親と医療者に対し「子どもの最善の利益」を考えるよう定めている。治療方針決定に際し、親の同意権と意思決定責任が問題となる。日本のガイドラインでは、治療方針決定への親の参加義務について触れているが、親の同意権および意思決定責任が明示されていない。それ故、子どもの治療方針に対する親の希望、あるいは意思決定責任そのものが曖昧とされている。「子どもの最善の利益」を追求するためには、親に対する治療方針決定の重みと意思決定責任を認識させることが重要である。そのためには、ガイドラインの条項に親の意思決定責任を明記すべきであると考える。

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2011 日本生命倫理学会
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