生命倫理
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姉妹間卵子授受による生殖補助医療(ART)実施クリニックの施設内倫理委員からの提言
柳井 圭子吉田 耕治シャルマ 直美藤川 和男
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2011 年 21 巻 1 号 p. 94-102

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抄録

北九州市にある日本生殖補助医療標準化機構の会員クリニックにて、厚生労働省の2003年報告書で禁止されている患者の関係者からの配偶子を用いる姉妹間の卵子授受による生殖補助医療(ART)が、2008年来、不妊患者に実施されている。翌年から当クリニックの施設内倫理委員会(IRB)の委員として務めている我々は、本報告において、当委員会の概略、JISARTの倫理規定、および申請医療の承認に至る審議過程を記載し、当事者たちの卵子提供やARTで生まれた子どもへの事実の告知に関する意見と態度を紹介した後、ART実施の法的規制がない状態がもたらす社会的・法的問題を論議する。この論議を踏まえ、ARTで生まれる子どもを社会的偏見から護るために、ART制度の法整備を早急に行う必要があることを指摘し、法整備に向けての論議において子どもの福祉擁護を最優先することを提案したい。

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2011 日本生命倫理学会
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