生命倫理
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報告論文
オーストラリア・ビクトリア州における 自発的幇助自死法の成立と特徴
南 貴子
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2018 年 28 巻 1 号 p. 40-48

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抄録

 オーストラリア・ビクトリア州において、2017年11月29日にVoluntary Assisted Dying Bill 2017(自発的幇助自死法案)が議会を通過し、2019年6月19日までに施行されることになった。ビクトリア州に住む18歳以上の成人で、意思決定能力があり、余命6か月以内の末期患者に対して、自ら命を絶つために医師に致死薬を要請する権利が認められる。オーストラリアでは、北部準州において1995年に世界で初めての「医師による患者の積極的安楽死並びに自殺幇助」を認める安楽死法Rights of the Terminally Ill Act 1995(終末期患者の権利法) が成立したが、施行後9か月で無効となった。その後20年の歳月を経て、ビクトリア州で幇助自死を認める安楽死法がオーストラリアで唯一成立したことになる。

 Andrews政権が「世界で最も安全で最も抑制のきいたモデル」と評するビクトリア州の「自発的幇助自死 法」の成立と特徴について、そのセーフガードに焦点を当てつつ、他国の安楽死・幇助自死法との比較も踏まえながら分析する。

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2018 日本生命倫理学会
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