動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
原著論文
肉用交雑種子ウシにおける離乳期の中鎖脂肪酸カルシウム給与が血中代謝性ホルモン濃度に及ぼす影響
増田 洋史福森 理加箭内 莉奈竹内 絢香サラントラガ杉野 利久長尾 慶和
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2019 年 55 巻 2 号 p. 82-93

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抄録

本研究では、中鎖脂肪酸カルシウム(MCFA-Ca)給与が離乳期の肉用子ウシの発育性および栄養代謝に及ぼす効果について調査した。ホルスタイン種と黒毛和種の交雑種オス子ウシ16頭を8頭ずつ2群に分けた(MCFA-Ca区およびコントロール区)。全ての子牛は121日齢で離乳した。離乳10日前(Day-10)から離乳84日後(Day84)にわたり、MCFA-Ca区の子ウシにはMCFA-Caを含む添加剤(MCFA-Caとして1日27g)と配合飼料を給与した。コントロール区にはMCFA-Caを含まない添加剤と配合飼料を給与した。チモシーは自由採食とした。測定項目について、添加剤および配合飼料の摂取量を毎日記録した。また、Day-10, 0, 13, 22, 50および84において体重測定および採血を行い、血中代謝産物濃度(グルコース、総コレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、総ケトン体、尿素態窒素)および代謝性ホルモン濃度(インスリン様成長因子1; IGF-1、インスリン、成長ホルモン、グルカゴン)を測定した。その結果、試験期間における添加剤や配合飼料の摂取量、平均日増体重および血中代謝産物濃度については、両処理区で有意な差は認められなかった。しかしながら、離乳後のインスリン濃度がコントロール区に対して、MCFA-Ca区で有意に低く推移した。また、試験期間を通じてIGF-1濃度がコントロール区に対して、MCFA-Ca区で有意に高く推移した。以上から、離乳期の肉用子ウシへの中鎖脂肪酸カルシウム給与は発育性に影響することなく、代謝性ホルモンの分泌を変化させることが明らかとなった。

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© 2019 動物の行動と管理学会
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