日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
わが国のICUにおける終末期ケアの現状と医療者の認識
立野 淳子山勢 博彰田戸 朝美藤田 直子
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2014 年 10 巻 3 号 p. 23-33

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抄録

【目的】わが国のICU における終末期ケアの現状と医療者の認識を全国調査から明らかにすること.【方法】集中治療に携わる医療者2,000 名を対象に,平成24 年10 月~11 月に,終末期ケアの実施状況,終末期ケアに対する認識,組織的支援体制について質問紙を用いた郵送調査を実施した.【結果】医師214 名,看護師661 名,看護管理者60 名から回答を得た.終末期の判断は,「複数の医師で判断」で行われることが最も多かった.ICU における終末期の方針に関する意思決定は,患者の意向に基づき,家族の同意を得ながら決定していた.6 ~7 割の医療者は,患者の苦痛を定期的に評価しており,患者の苦痛軽減のための症状管理は,ICU における終末期ケアの質を向上するために必要なことと認識していた.8 割以上の医療者が,ICU での終末期ケアに困難性を感じ,特に意思決定支援について困難に感じる傾向があった.【考察】本調査の結果は,わが国のICU における終末期ケアの現状の一端を示す貴重な資料といえる.今後は,医療者が特にケアへの困難感を感じている意思決定支援のあり方について検討していくことが課題である.

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© 2014 日本クリティカルケア看護学会
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