日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
集中治療室看護師の「終末期医療へのシフト」の意思決定参画の現状と課題
高田 望平野 かよ子
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2015 年 11 巻 1 号 p. 31-40

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抄録

 本研究は,ICU での終末期の意思決定への看護師の参画の現状と,看護師の終末期の意思決定参画に関する課題を明らかにすることを目的とし,全国83 の特定機能病院のICU の看護師を対象に郵送質問紙調査を行った 合計498 部の質問紙を送付し,147 名(回収率29.5%)の回答を得た.
 約6割の看護師は終末期の意思決定の場に同席していたが,意思決定に自分の考えを伝えて参加しているとの認識を持つ看護師は約1割であった.また,約5割の看護師が意思決定に参画したいという態度を示していた.意思決定への参画の認識または態度を強化する要因としてデスカンファレンス,医師と合同のカンファレンス,プライマリーナーシング等が見出された.看護師は終末期の意思決定が遅すぎるというジレンマを感じることが多かった.その背景には医師との医療観の違いがあり,情緒的な面を含め患者の生命の質を総合的に考えていることを,医師中心の意思決定にどのように反映させていくかが課題であると明らかにされた.

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© 2015 日本クリティカルケア看護学会
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