日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
横軸型腹直筋皮弁による一次乳房再建術を受けた初発乳がん患者の手術施行に関する意思決定から結果を認識していくまでのプロセス
山田 紋子黒田 裕子
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2015 年 11 巻 1 号 p. 41-51

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抄録
 本研究の目的は,横軸型腹直筋皮弁による一次乳房再建術を受けた初発乳がん患者の手術施行に関する意思決定から決定した手術の結果を認識していくまでのプロセスを明らかにすることである.研究参加者は,手術前に医師より乳房再建術の説明を受け,手術後1年以内の初発乳がん患者12 名であった.データ収集は半構成的面接法にて行い,質的帰納的に分析した.
 分析の結果,このプロセスは,まず手術の施行を決定していく局面は,【乳房全摘術施行の必要性の認知】,【乳房全摘による社会生活の否定的変化の予測】と【乳房喪失による精神的ダメージの予測】,【再建への期待】,【手術施行の決定への後押し】による【手術施行の自己決定】,【自家組織移植の検討】と【シリコン挿入の検討】,【自家組織移植の選択への踏ん切り】からなった.次に自分で決定した手術の結果を認識していく局面では2つのパターンを見出した.決定した結果に対する肯定的な認識のパターンは,【徐々に元通りに近づきつつある身体】と【再建によって維持される社会生活】,【再建への満足】,否定的な認識のパターンは,【手術によって変容してしまった身体】,【選択した再建方法への後悔】からなった.
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© 2015 日本クリティカルケア看護学会
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