2017 年 13 巻 3 号 p. 39-47
【目的】急性期病院に勤務する看護師に着目し,看護実践環境と看護師の自律性との関連を,多変量解析により明らかにすること.
【方法】一施設の看護師360名を分析対象とした.自律性測定尺度([認知能力][具体的判断能力][抽象的判断能力][自立的判断能力][実践能力])をそれぞれ従属変数とし,基本属性,職務満足,看護実践環境(PES-NWI日本語版)から独立変数を選定し,多重線形回帰分析により検討した.
【結果】二変量解析では,看護師の自律性と関連のあった要因は,PES-NWI(日本語版)では,「病院全体の業務における看護師の関わり(高い)」のみであった.他に,「経験年数が長い」「CNS/CN有」「職業継続意思有」「職務満足(高い)」などの要因が関連していた.集中治療室勤務か否かは関連がみられなかった.多変量解析では,PES-NWI日本語版の「ケアの質を支える看護の基盤(高い)」と「病院全体の業務における看護師の関わり(高い)」,それ以外の要因としては「職務満足(高い)」,「頼りにされていると思う」,「学生指導経験有」が看護師の自律性を高めた.
【考察】一施設内における看護師の自律性は,勤務部署や看護実践環境による影響は少ないと考えられた.