抄録
CKD(慢性腎臓病)は10年前に提唱された概念であり、原疾患の如何にかかわらず腎機能異常があると予後不良であることから重要視されてきた。今回日本腎臓学会で『CKD診療ガイド2012』が上梓され、以前のCKD診療ガイド2007、2009と大幅に改訂が行われた。特に、重症度分類はGFRだけでなく、原因(Cause)とアルブミン尿の程度(Albuminuria)を加えたCGA分類となっている。より正確な予後判断ができるようになったが、その利便性に関しては疑問も呈されている。さらなる検討が将来必要であろう。CKDの重要性は、腎不全による透析患者するの増加と心血管疾患による死亡率の上昇である。その両者を防ぐためには、原因疾患の早期治療、腎保護作用のある薬剤投与、血圧管理、蛋白尿の減少、生活習慣の改善、脂質異常の治療、貧血治療、CKD-MBDの管理など多方面からのアプローチと管理が必要である。日本は世界で初めて超高齢化社会に突入する。欧米の真似をしてきた医療界で日本独自の方策を考えなければならない時期になってきた。CKDは欧米の真似の域を出ないが、さらに日本独自のCKD対策を考えなければならない。