2023 年 19 巻 p. 128-133
【はじめに】侵襲的陽圧換気を受けている患者の入浴介助は,QOLを向上させるケアと推察されるが,安全管理や労力対効果を考慮すると実施困難な看護ケアである.
【症例】脳幹出血を発症し,集中治療を経て一般病棟で侵襲的陽圧換気を受けている50歳代男性.
【看護実践】看護師のみで患者に入浴を提供するため,主治医,集中治療医,臨床工学技士と連携し,入浴による身体への影響を考慮して,特定行為「侵襲的陽圧換気の設定の変更」を行った.入浴中は人工呼吸器の患者データと間欠的なSpO2値と身体所見を把握した.人工呼吸器には防水・防湿対策を行った.有害事象は発生しなかった.入浴後に患者の笑顔がみられ,快刺激を与えられた.
【考察】特定行為研修修了者が特定行為を活用することで,看護師のみで侵襲的陽圧換気を受けている患者に入浴を提供できた.多職種連携と患者および人工呼吸の安全管理とスタッフの負担軽減を達成できたことが成功要因だと考える.
【結語】侵襲的陽圧換気の設定の変更を活用し,安全に入浴介助ができた.