2023 年 19 巻 p. 76-86
本研究の目的は,クリティカルケア看護師が惨事ストレスを乗り越えるプロセスを明らかにすることである.研究参加者10名に対して半構造化面接を実施し,M-GTAを用いて分析を行った.
クリティカルケア看護師が惨事を目の当たりにした直後は,【感情のコントロール不能な状態】や【自責の念を抱く】.しかし【体験を受けとめる仲間の存在に支えられる】ことで,徐々に【自分の感情に折り合いをつける】.さらに,【惨事ストレスを糧とした看護の探求を進める】中で,【惨事ストレスに強い自分になる】.そうして,あらためて【惨事に遭遇した家族へのケアの再認識と実践】をしていた.この一連のプロセスの中に,【瞬く間に過ぎる時間と記憶の風化】があった.
クリティカルケア看護師のメンタルヘルスへの支援は,組織としての取り組みを計画的にかつ継続的に行いながら,個人のレジリエンスを高める支援について,研修等を通して啓発していく必要性があると示唆された.