抄録
本研究は渡航心臓移植を選択した患者家族の意思決定プロセスと影響要因,また家族と患者の相互作用と決定様式を明らかにすることを目的とした.対象は 6 家族(患者 5 名,家族員 10 名)で,半構成的面接法と参加観察法によりデータ収集を行い,グラウンデッド・セオリー法を用いて分析を行った.
その結果,意思決定プロセスは,第 1 段階:『生きていてほしいと移植を考え始める』,第 2 段階:『渡航を迷うが後悔したくない』,第 3 段階:『見切り発車で渡航移植を選ぶ』,第 4 段階:『プライバシーを捨てる覚悟で渡航の準備をする』で構成されていた.影響要因では,【死が身近に】【患者の意思】【家族親族の理解と支援】【病院の理解と支援】【渡航費用】【周囲の認識】が導かれた.家族と患者の相互作用と決定様式では,「家族で選択し決定」と「家族と患者とで決定:a.家族と患者の意思が同調する;b.家族の思いが先行するが患者の意思が調和;c.患者の意思が先行し家族を説得する」が得られた.以上の結果は,時期に応じた患者家族の理解とサポート体制を整えるのに役立つといえよう.