2010 年 6 巻 3 号 p. 37-45
本研究は,集中治療室入室中に人工呼吸器を装着した術後患者が,どのようにして苦痛を乗り越えたのか,さらに回復への意欲を支えたのは何かを明らかにし,回復を促すための看護援助を検討することを目的に,予定した手術後,集中治療室入室と人工呼吸器装着が必要となった3名を対象に半構造化面接法と参加観察法を用い,質的帰納的に分析した.
苦痛をどのようにして乗り越えたのかについて9つのカテゴリーが見出され,患者は【つらさから解放されたい】と望みながらも,対峙し乗り越えようとしていた.また,回復への意欲に対する支えについては6つのカテゴリーが見出され,回復過程が進むにつれ意欲は高まり・強まっていると捉えられた.そして,回復への意欲は,苦痛が和らぐことや,家族との情緒的な絆,看護師・医師の関わりと医療に対する信頼によって安心の感覚をもつことで促されており,「安心の感覚」をもつための看護援助や,家族の支えを促すための看護援助が重要であると示唆された.