2010 年 6 巻 3 号 p. 26-36
クリティカルケア領域において,看護師が生命維持のための医療機器装着患者への日常生活援助ケアの実施状況は,施設による差異,なかでも医師の指示(許可)が大きく関わっていることが推察されるが,全国規模での実態は明らかにされていない.本研究は,クリティカルケア領域において,看護師による侵襲的治療環境にある重症患者への日常生活援助ケアの現状と,ケア実施にあたっての看護師の判断,医師の指示との関連等を調査した.方法は,全国200の基幹病院でICU/CCU,集中治療部,救命センターなどで重症患者ケアに携わり,中核的な役割を担っている看護師各施設2名計400名に質問紙を郵送し,209名(52.3%)から回答を得た.結果より,我が国のクリティカルケア領域の看護師は,かなりの侵襲的医療処置を実施していることが明らかとなった.また将来の方向性については,現在以上に侵襲的医療処置は看護師の実施割合が増加すること,現在は看護師がほとんど実施していない処置でも,専門看護師や認定看護師など教育・研修を受けた看護師なら実施する可能性は高いと認識していることが示された.本研究の結果をもとに,看護師の役割拡大も含めたよりよいクリティカルケア看護のあり方を引き続き検討していく必要がある.