日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
インプラントを用いて咬合再構成したすれ違い咬合の1例
-ナローインプラントと骨モデルを用いた手術侵襲の軽減-
和田 義行吉村 治範三上  格
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2009 年 29 巻 1-2 号 p. 51-58

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抄録
近年,ペイシェントドリブンの概念に基き,インプラント治療においても,患者の負担を軽減するための方法が注目されている.インプラント手術の負担を軽減するための手段の1 つに,ナローインプラントの使用がある.ナローインプラントの使用により,大きな骨造成を避けることが可能になり,治療期間の短縮も期待できる. しかしナローインプラントは,その強度的・構造的な特性から,限られた症例に適用され,全顎的な治療への適用は適当でないとされてきた.また,補綴処置においても十分な審美性の獲得が困難とされており,骨造成を行いレギュラーサイズのインプラントが選択されてきた. その一方で,ナローインプラントはレギュラーサイズのインプラントと予後の差がほとんどないという報告が多く見られる.そこで今回,筆者らは,前後的すれ違い咬合症例の全顎的咬合再構成に,ナローインプラントを用いて,大きな骨造成を行わずに患者の手術侵襲を軽減し良好な結果を得た. ナローインプラントを全顎の咬合再構成に使用するには,その特性の十分な理解,正しい適応症の選択,正しい使用法が必要と考えられた.さらに,3D 骨モデルを併用することでナローインプラントは,さらに有効に使用することができた.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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