2009 年 29 巻 4 号 p. 242-251
今日,歯科技術の発展にはすばらしいものがある.とくに再生療法の進歩により,以前は不可能であった治療が可能になってきた.私たちはとかく新しい技術に目を奪われがちである.しかし,われわれ歯科医師の究極目的は全身の健康を図るべく,機能・審美的にすぐれた咀嚼器を確立することであり,その中で新しい技術をいかに活用していくかが重要である.本稿では,顎機能障害を有する患者に対して,生体の正中矢状面と咬合器の正中矢状面を合致させた咬合器付着を行い,良好な咬合を得るために咬頭傾斜の標準値を再現することによって顎機能障害を改善し,咬合再構築を行ったインプラント症例を報告する.