日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著論文
CAD/CAM システムによる一体型フレームワークに関する一考察
—より精密なフレームの製作法—
鈴木 仙一佐藤 明寿福岡 幸伸川口 和子
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2009 年 29 巻 4 号 p. 236-241

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抄録

CAD/CAM の発達により,精密なフレームの製作が可能になってきた.しかし精密なフレームを製作するには,精密な作業模型の製作が必須であり,CAD/CAM システムによる 一体型フレームにジルコニアを用いる場合には,特に大切である.フレームワークにおいて,従来の作業模型の製作方法では,作業過程における誤差などにより,口腔内に適合しないことがある.その場合には,フレームを個々に切断し,鋳造フレームではろう着,チタンフレームではレーザー溶接にて接合してフレーム再製作を行うことがある.しかし,ジルコニアフレームが不適の場合には,接合する手段がなく一から再製しなければならない.そのため,より精密な作業模型が求められる. また,本方法により3 つのメリットが考えられる.1 つ目はポジショニングのステップを 加えることにより,従来どおりに製作したレジンフレームが適合していたかどうか確認でき ることであり,2 つ目は,ブロック別にするため,最終印象で生じたミスを補正できるとい うことである.このことは最終的にフレームが完成したときに不適合だった場合に,鋳造フレームやチタンフレームを切断する工程を先付けして念のために行っているようなものであ る.3 つ目はストローを用いることにより,印象材の弾性による印象に石膏を注入した時の重さによる変形や,石膏の硬化膨張による変形を阻止できる.また,方法4 や7 で使用する パターンレジンの量を極力少なくして変形を抑えることにより,再現性のある作業模型を得ることができた.

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© 2009 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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