日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
インプラントと皮質骨ブロック移植症例の長期経過観察
吉村 治範和田 義行黒江 敏史関口 隆三上 格
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2010 年 30 巻 1-2 号 p. 34-41

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抄録
インプラント埋入に際して骨量が不足している場合には,さまざまな骨造成法を用いインプラント受容部を拡大させる試みが行われてきた.骨造成により委縮した歯槽堤にインプラントを理想的な位置に埋入し,審美的にも良好な結果を得ることができる.その中でも,自家骨を用いた皮質骨ブロック移植は,とくに高度に吸収した上顎前歯部において,広範囲に骨幅を増大することが可能で,その臨床的な予後は良好であることが報告されている.しかし,皮質骨ブロック移植の造成骨の状態を長期的に詳細に評価した報告はほとんどない. 本症例において,われわれは上顎前歯部の委縮した顎堤に,オトガイ部からの皮質骨ブ ロック移植を用いてインプラント補綴を行い,長期的に良好な予後を得た.さらに,イン プラント周囲の移植骨の状態を7 年後にコーンビームCT にて評価する機会を得て,移植 骨の安定性を確認できた. 結論として,上顎前歯部の委縮した歯槽堤に対してのインプラント治療に,皮質骨ブロッ ク移植による骨造成は有効であった.また,コーンビームCT によりインプラント周囲の 造成骨が長期的に安定していることが確認された.
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© 2010 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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