日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著論文
審美修復におけるレジンセメントの色調の研究─試験片の厚さが色調に及ぼす影響─
秋山 麻沙子黒岩 昭弘松山 雄喜内山 真紀子溝上 真也谷内 秀寿山本 昭夫音琴 淳一藤森 茂治笠原 悦男
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2010 年 30 巻 3 号 p. 196-201

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抄録

近年,患者の審美的意識が向上してきている.ラミネートベニア修復は歯髄保護や不要な歯質の削除の観点から極薄い修復物となる.そこで,ラミネートベニア修復合着時の,レジンセメントの色が修復物に及ぼす影響について検討するため,今回の実験では陶材の厚さが色調に及ぼす影響について検討した.
陶材は歯冠色陶材,支台歯色陶材,マスキング陶材を条件に沿って厚さを調整し,分光光度計にて測色した.
そして以下の結論を得た.
1.歯冠色陶材におけるL* は陶材の厚さ0.6 ~1.4mmで色調の変化が大きい.
2.歯冠色陶材におけるa* はA2,A3で陶材の厚さ1.5mmまでは色調の変化が大きい.
3.歯冠色陶材におけるb* は陶材の厚さ0.5 ~1.0mmまでは色調の変化が大きい.
4.支台歯色陶材におけるL* が高いとa* は低く,L* が低いとa* が高くなる.
5.支台歯色陶材において色が濃いほどL* は低く,厚さが増加するほど低くなる.
6.臨床で用いられているマスキング陶材の透過率は30 ~50%程度である.

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© 2010 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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