日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著論文
筋機能訓練装置を応用した患者における年間成長発育量の検討
山木 貴子時崎 匡史山木 誠清水 由美岡藤 範正
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2011 年 31 巻 3 号 p. 196-205

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抄録
筋機能訓練装置(以下ムーシールド)は乳歯列期の被蓋改善のために開発された装置である.しかしながら,乳歯列反対咬合の年間成長発育量の評価について検討された報告はない.よってわれわれは,早期初期治療における治療効果を明らかにするために成長発育期の前歯部反対咬合にムーシールドを応用し年間成長発育量の評価について検討した.
【症例1】 6歳5カ月女児 左側 オーバージェット-2mm,オーバーバイト+2mm,ターミナルプレーンはメジアルステップタイプでANB +2°.前歯部反対咬合と診断された.結果として,ANB +2°から+5°へと増加し骨格的改善が認められた.ムーシールド応用2年後にオーバージェット-2mm から+2mm となった.
【症例2】 6歳2カ月男児 オーバージェット-2mm,オーバーバイト+1mm,ターミナルプレーンはメジアルステップタイプでANB +2°.前歯部反対咬合と診断された.結果として,ANB +2°から+3°へと増加し骨格的改善が認められた.ムーシールド応用4年後にオーバージェット-2mm から+2mm となった.
さらに症例1は上顎骨の前下方方向,下顎骨の下方方向への成長が認められた.症例2は上下顎骨の前下方方向への成長が認められた.
以上より,ムーシールドは若年者の早期反対咬合の骨格的改善に有用である可能性が示唆された.それは,ムーシールドの応用により,舌拳上の作用が有効であるからなのかもしれない.今後,さらなる追求を行っていく予定である.
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© 2011 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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