日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著論文
HA コーティングインプラントの10-13年間の臨床評価
藤野 茂古屋 延明渡辺 浩松島 弘季杉山 和孝
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2011 年 31 巻 3 号 p. 206-214

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抄録
本研究は,HA インプラント(Integral®,Calcitek Carlsbad CA)の10-13年間の臨床経過である.今回,われわれは,日本国内の4診療施設においてHA インプラント体579本を患者202 人に埋入し臨床経過の分析を行った.埋入後1 年未満に2 本がOsseointegration 獲得できず失敗した.その後のOsseointegration 維持期間に,インプラント周囲炎とOsseointegration の喪失により86本が失敗した.よって,10-13年間の累積成功率は85.1%であった.検討項目は性別,年齢別,インプラント体の直径,長さ,埋入部位,累積成功率,失敗インプラント体の臨床経過について行った.結果,HA インプラントは,インプラント体の長さ(8mm),埋入部位(下顎)については,その成功率に有意差が認められた.また,インプラント埋入後のOsseointegration 維持期間にインプラント体周囲骨の吸収や脱落の多くの問題が発生した.これは,HA インプラント体の HA の性状のほかに表面処理方法,インプラント体の構造,インプラント・アバットメント連結機構による影響を受けていると考えられる.
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© 2011 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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