日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
歯・口腔軟組織・顎顔面軟組織との調和のとれたスマイルライン獲得への審美補綴治療
小林 英史
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2012 年 32 巻 1-2 号 p. 140-151

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抄録

近年オールセラミックスやホワイトニングをはじめとした審美治療は,歯科界のみならず一般社会でも幅広く認知され,それらの治療を求めて来院する患者も急速に増え続けている.
それに伴い,「審美治療」を「ただ単に白いものを被せて終える治療」と誤解して訪れる患者がいるのもまた事実である.
局所が主訴の審美修復であっても一般歯科診療と同様に,一口腔単位で問題点を正確にとらえ,時には矯正治療や咬合治療の介入の必要性を患者に説くのはわれわれ歯科医師の重要な役割といえる.
たとえ単独歯であっても,ただ被せて終わる審美「修復」ではなく,患者の口腔内が永続的に安定するよう環境を整備した審美「治療」を念頭に置かねばならない.
見た目はもちろんのことブラッシングのしやすさ,機能面をもっと考え,歯周形成外科や矯正治療などを含めた口腔内の環境改善を行ってこそ本当の審美歯科だと考えられる.
本症例では審美的なスマイルライン獲得に焦点をあて,Ridge Augmentation によるティッシュマネージメント(環境改善)を絡めた審美治療を行ったことにより,矯正治療を選択しないなど限られた治療オプションの中ではあったが,患者の満足を得て治療を終えることができたので報告する.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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