抄録
捻転した歯は,審美性や清掃性の観点から是正を必要とする場合が少なくないが,その是正方法の第一選択は歯列矯正である.しかし,歯列矯正は我が国ではまだまだ患者にとって第一選択となる治療にはなっていないのが現実である.実際,ミニマルインターベンションを考慮すると,歯列矯正が最も適した治療方法であるにもかかわらず,年齢的な問題や治療中の審美性のために歯列矯正を選択されないことが多い.そうなると,修復処置によって対応せざるをえない.その場合、歯の全周を切削して形態を修正する修復処置がもっとも簡便な方法であると思われがちである.しかし,歯のダメージや永続性を考えると全部冠修復は第一選択にすべきではない.審美修復とミニマルインターベンションを兼ね備えた修復処置としてポーセレンラミネートベニア修復を第一選択とすべきであろう.ポーセレンラミネートベニアは歯質の削除量も比較的少なく,またエナメル質への接着性からも永続性にすぐれ,比較的安心して行える修復方法ではないだろうか.そこで,今回は術者の考えをもとに患者の希望も踏まえ,患者と術者がお互いに納得いく到達点において,しかも比較的簡便にポーセレンラミネートベニアを用いて審美修復を行った例を紹介する.【顎咬合誌33(3):269-276,2013】