抄録
「咀嚼機能の回復」を主訴とする重症高血圧患者について,患者の要望を尊重しインプラント補綴にて咬合を再構築した.患者は,天然歯の保存,短期間での治療の希望をもち,循環器疾患を改善するため心臓ペースメーカーの植込み手術も検討していたので,口腔の外科手術に対するリスクを考慮し治療方針を立案した.上顎にはコーヌス義歯を下顎には歯科麻酔医による全身管理の下,臼歯部へのインプラント治療を行った.治療終了後, 5 年6 カ月経過し,天然歯,インプラント周囲骨および骨造成部位に問題がないことを確 認した.この症例によって咬合の再構成におけるインプラントの有用性を再確認し,重篤な疾患を有する患者でも適切なコントロールによって埋入施術が可能であることが確認できた.