抄録
臼歯部咬合崩壊が予測された慢性歯周炎患者に対し,咬合性外傷が起因であると診断し,炎症性因子の除去および病変部の改善と咬合の安定(適切なアンテリアガイダンスと臼歯部咬合支持の確保)を目的とし,歯周基本治療,歯周組織再生療法,矯正治療およびインプラント治療を含む包括的治療を行った.咬合の安定のため,ファイナルレストレーションへ移行する前には精度の高いプロビジョナルレストレーションを使用した.現在,病状安定となった歯周組織を長期間維持するためのサポーティブペリオドンタルセラピーに入り6 年経過し,良好な予後を得ている症例を報告する.