日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
咬合治療の手順とその結果
下川 公一
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2017 年 37 巻 1-2 号 p. 81-

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抄録

下顎位とは,上下の歯の全体的な接触関係の中で語られるものであるが,本来,咀嚼や嚥下時以外では上下の歯は接触していないのが正常である.安静位では上下顎歯列には一定の空隙が存在するわけであるが,嵌合位と安静位での下顎位を考えながら矯正や補綴物の設計をしていなくてはならない.そのためには,舌と上下歯列の安定した関係を考えながら診断し治療を進めていくこととなる. 咬合器上では顆頭球を固定して上下顎の模型を左右および前方に接触滑走させるが,ヒトの咀嚼運動においては,わずかではあるが下顎は左右にシフトさせながら上下咬合面が接触する.咀嚼運動では,舌の運動とそのポジションが極めて重要であるが,咬合器にはその機能はない.このため有歯顎の咬合治療においては,患者の口腔内での咬合調整が極めて大切と思われた.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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