2017 年 37 巻 3 号 p. 215-222
本症例(患者;58 歳,女性)は少数歯欠損とアンテリアガイダンスの喪失を伴うAngle II 級症例だが,患者ははじめ部分的な治療のみの希望だった.しかし歯周基本治療を行いながら向き合っていくうちに次第に信頼関係を築き,あらためて全顎的な診査診断を行い,全顎治療に移行することができた.臼歯部をテンポラリークラウンに置き換え咬合高径と咬合平面の修正を行い,安定する下顎位を模索した.また欠損部へのインプラント治療により第二大臼歯までの咬合支持が得られ,前歯部は下顎位を整えることと上顎前歯の補綴,下顎前歯の部分矯正によりアンテリアガイダンスが獲得できた.下顎位が安定したところで診断用ワックスアップよりプロビジョナルレストレーション(以下プロビジョナル)を経て最終補綴に移行できたことで,結果的に安定する咬合を得ることができた.【顎 咬合誌 37(3):215-222,2017】