日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
歯周病の既往歴とワイヤ放電加工表面をもつインプラントの臨床経過の関係
藤野 茂
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2018 年 38 巻 3 号 p. 198-206

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抄録

本研究は,改質チタン表面をもつインプラントを埋入した患者を歯周病既往患者群と非歯周病既往患者群に分け,各患者群のインプラント治療経過を調査することにより,歯周病の既往歴が,インプラントの経過に与える影響について調査する目的で行われた.1995 年から2006 年の間に124 名の患者にワイヤ放電加工による改質チタン表面をもつインプラント425 本を埋入した.上部構造物を装着した後8 ~20 年間が経過した患者をHardt らの記載の変法に従い,歯周病既往患者群と非歯周病既往患者群に分け,各患者群のインプラントの臨床経過を比較検討した.歯周病既往患者群での調査対象患者は41 名,調査対象インプラントは154 本,平均経過観察期間は13.8 年であった.経過観察期間中に,撤去したインプラントは歯周病既往患者群では15 本(9.7%)であった.また,13 本(8.4%)のインプラントにおいて,撤去はされていないがインプラント辺縁周囲骨の近遠心に3mm を超える骨吸収が認められた.一方,非歯周病既往患者群では調査対象患者は41 名,調査対象インプラントは129 本で,平均経過観察期間は14.1 年であった.経過観察期間中に,撤去したインプラントは4 本(3.1%)であった.また,3 本(2.3%)のインプラントにおいて,撤去はされていないがインプラント辺縁周囲骨の近遠心に3mm を超える骨吸収が認められた.歯周病既往患者群のインプラントの残存率は90.3%,成功率は81.8%,非歯周病既往患者群では残存率96.8%,成功率94.6%であり,両群の残存率と成功率に有意差が認められた.また,経過観察中にインプラント辺縁周囲の骨吸収が,歯周病既往患者群に有意に多く発生した.【顎 咬合誌 38(3):198-206,2018

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© 2018 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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