日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
原著
鏡面研磨した歯冠修復用金属材料表面に対する 各種合着用セメントの接着性
甲田 訓子永澤 栄倉澤 郁文山本 昭夫黒岩 昭弘亀山 敦史
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 40 巻 3 号 p. 219-

詳細
抄録

本研究の目的は,鏡面研磨されたJIS2 種チタン表面に対する各種市販合着用セメントの引張接着強さを検討し,金銀パラジウム合金および金合金への引張接着強さと比較することである.3 種類の歯冠修復用合金・金属(JIS 第2 種鋳造用チタン12%金銀パラジウム合金,およびタイプ3 金合金)平坦面を鏡面研磨し,表面処理後に合着用コンポジットレジンセメント(パナビア®V5),コンポジット系接着性レジンセメント(リライエックスTM アルティメット),4-META / MMA-TBB 系接着性レジンセメント(スーパーボンド®),合着用従来型グラスアイオノマーセメント(ハイ-ボンドグラスアイオノマーCX)のいずれかを用いてステンレス棒を接着した.なお表面処理にはパナビアV5 の場合ではクリアフィル® セラミックプライマープラスまたはアロイプライマーのいずれかを, リライエックスTM アルティメットではスコッチボンドTM ユニバーサルアドヒーシブを,スーパーボンドではV- プライマーをそれぞれ塗布した.またチタン鏡面研磨面ではスーパーボンドの応用方法の相違についても検討した.12%金銀パラジウム合金の場合,V- プライマー/ スーパーボンドでの接着が最も高い接着強さを示した.タイプ3 金合金の場合においてもV- プライマー/ スーパーボンドでの接着で最も高い接着強さを示したが,その値は12%金銀パラジウム合金の場合よりも大幅に低いものであった.JIS2 種純チタンの場合,スーパーボンド使用時に被着面に対してあらかじめ活性化液(クイックモノマー(5% 4-META + 95% MMA)とキャタリストV(TBB-O)の混合液)を塗布した場合に接着強さの向上を認めた.本研究結果から,鏡面研磨された歯冠修復用合金・金属に対する金属用プライマー/ 合着用セメントの効果は金属材料の種類に依存すると結論付けられた.【顎咬合誌 40( 3 ):219-230,2020

著者関連情報
© 2020 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top