2020 年 40 巻 3 号 p. 262-
インプラント適応症を制約する問題の一つとして,欠損部の不十分な骨量の問題がある.骨欠損には垂直性骨欠損と水平性骨欠損があり,骨量不足の原因は歯科疾患に伴う骨吸収が多く,また上顎洞底の低下など解剖学的形態によるものもある.この骨欠損部に対してインプラント治療を行うための対応法としては,自家骨移植や他家骨を併用したいくつかの骨造成法がある.骨欠損の程度や形態,状況,部位によって骨造成手技の方法の選択は異なるが, 他家骨を併用した術式は骨補塡材を使用するため,術後に予期せぬ感染が起きた場合,回復処置時に,骨補塡材の撤去が困難となることも考慮しなければならない.今回, 垂直的および水平的骨量が乏しい上顎臼歯欠損部に対して, 骨補塡材を用いない上顎洞挙底上術と骨誘導再生法(GBR)を併用したインプラント治療を行い, 良好な結果が得られた症例を報告する.【顎咬合誌 40(3):262-268,2020】