日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
小児患者の矯正治療開始時期に関する調査
山岸 三津子
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2022 年 41 巻 3 号 p. 230-237

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抄録

不正咬合を主訴に小児が歯科医院を受診する時期は,養育する保護者の意識に左右される.そこで今回,当院を受診した1 歳~11 歳の小児485 名について,初診時年齢,治療転帰を把握すべく調査を行った.治療転帰は,①治療開始に最適な時期まで成長観察(成長観察群),②直ちに治療開始(加療群),③管理を希望しない(セカンドオピニオン含む,希望無し群)に分類し,①の成長観察群と②の加療群では不正咬合の分類を行った.初診時年齢で最も多かったのは8 歳,次いで9 歳だった.治療転帰は,①成長観察群134 名(27.6%),②加療群107 名(22.1%), ③希望無し群244 名(50.3%)だった.①成長観察群で多かった不正咬合は上顎前突,叢生で,②加療群では反対咬合,次いで萌出障害,開咬だった.初診時年齢は乳歯列期ではなく永久歯への交換期が多く,咬合状態によっては初診時が処置を施すのに最適な時期であるとは限らないことが示された.しかし保護者が興味を持つこの時期は,将来のあるべき口腔機能の姿を伝える大切な時期とも考えられる.

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© 2022 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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