日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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技術報告
作業用模型の調整法
柳沢 亮太河津 寛龍田 恒康
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2022 年 41 巻 3 号 p. 252-256

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抄録

間接法で製作されたクラウンは,口腔内試適時に過高となることが指摘されている.大山および遊亀は,この過高は咬合接触のない安静状態で採得された作業用模型上で製作されたクラウンと試適時には咬合接触させることで生じる生理的な歯の動揺が誤差の原因であると指摘し,咬合調整量の少ない補綴装置製作法を提案している.それを参考に,少数歯欠損症例における作業用模型調整法を検討した.印象採得の後,シリコーンバイト材を用いて咬合採得し,このシリコーンバイトの抜けを慎重に模型に印記し,バイト材を分割適合して生理的な歯の動揺を勘案して作業用模型を調整し,バイト材を介在させて緊密な嵌合が得られた状態で咬合器にマウントしてクラウン製作に用いる.このような作業用模型の調整法を試みた.その結果,試適時の調整量は顕著に減少したので,バイト材の抜けを印記する作業用模型調整法の有効性が確認できた.

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© 2022 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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