日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
Er:YAG レーザーを用いた安全で確実な 歯髄保存療法の術式の確立
津覇 雄三
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2022 年 42 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

日常臨床において軟化象牙質を徹底的に除去すると露髄してしまう症例にしばしば直面するが,できる限り歯髄を保存したい.ステップワイズエキスカベーションにて再石灰化,再硬化させながら感染象牙質を除去することにより露髄させることなく歯髄保存することができる.今回ステップワイズエキスカベーションの精度を上げるためにEr:YAG レーザーを用いた歯髄保存を行った症例を報告させていただく.ステップワイズエキスカベーションは日本歯科保存学会ガイドラインに準じて行い,覆罩前に歯髄側にEr:YAG レーザーを照射し(Erwin Adverl EVO:モリタ;C400F 20pps,30 ~ 40mj )覆罩には,タンニン・フッ化物合剤配合カルボキシレートセメント(ハイボンドテンポラリーセメントソフト:松風)を使用し再石灰化をさせながら徐々に感染象牙質を取り除いて行った.結果感染象牙質除去後十分な硬い再石灰化像が確認できた.この術式は歯髄の活性化とう窩の殺菌効果を期待できるとともにより良好な再石灰化が期待できる.

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© 2022 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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