2022 年 42 巻 1 号 p. 88-96
歯根破折やブリッジの破断が原因で,歯の保存が不可能な事態に陥ることがある.それがどの年齢に起こっても深刻な事態であるが,特に高齢者では咀嚼機能の低下が全身の健康状態の悪化につながりかねない.本症例は,歯根破折とブリッジの破断がたて続けに起った下顎大臼歯欠損による摂食障害症例で,咬合診査による原因の分析および一口腔単位での診断を行った.さらに,咬合回復,メインテナンスのしやすさや長期安定性を考慮し,コーヌステレスコープクラウンを支台とした部分床義歯で咬合を回復する治療計画を立案した.治療の結果,適切な咬合関係の獲得と咀嚼能力の改善ができ,良好な結果と患者の満足を得られた.