2023 年 43 巻 1 号 p. 3-
本症例は初診時年齢23 歳の女性,前歯で咬めないことを主訴に来院した.前歯部開咬および叢生,7 6 欠損を認めた.治療方針として,開咬および叢生の改善のため,4 および5 を便宜抜去,マルチブラケット装置にて歯科矯正治療を行うこととした.また,便宜抜去した5 は6 欠損部へ自家移植を行うこととした.マルチブラケット装置装着後,まず5 を抜去し,6 欠損部へ自家移植を行った.移植歯の経過が良好であることを確認,4 を抜去し,矯正治療を進めた.動的治療期間は2 年1 カ月,治療により良好な咬合が獲得できた.現在は保定観察2 年5 カ月,移植後4 年2 カ月の咬合および移植歯の状態は良好である.【顎咬合誌 43(1):3-10,2023】