日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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43 巻, 1 号
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症例報告
  • 渡邉 洋平
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 43 巻 1 号 p. 3-
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    本症例は初診時年齢23 歳の女性,前歯で咬めないことを主訴に来院した.前歯部開咬および叢生,7 6 欠損を認めた.治療方針として,開咬および叢生の改善のため,4 および5 を便宜抜去,マルチブラケット装置にて歯科矯正治療を行うこととした.また,便宜抜去した5 6 欠損部へ自家移植を行うこととした.マルチブラケット装置装着後,まず5 を抜去し,6 欠損部へ自家移植を行った.移植歯の経過が良好であることを確認,4 を抜去し,矯正治療を進めた.動的治療期間は2 年1 カ月,治療により良好な咬合が獲得できた.現在は保定観察2 年5 カ月,移植後4 年2 カ月の咬合および移植歯の状態は良好である.【顎咬合誌 43(1):3-10,2023

  • 白石 大祐
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 43 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    若年者のライフステージにおける欠損補綴において,ブリッジなど連結補綴装置は清掃性の難しさや力学的観点から将来的な欠損部位の拡大につながるリスクがある.また,欠損部位への治療介入において低侵襲治療と力の分散が補綴部位のロンジェビティーに大きく関与すると思われる.本症例では異なる3 つの主訴に対し欠損補綴処置を歯牙移植やクレスタルアプローチでのサイナスリフトを併用したインプラント治療を行った.前歯部の審美障害に対してはオフィスブリーチやホワイトニングを用い天然歯の形態の保存に努め,それぞれ低侵襲治療で対応した. 【顎咬合誌 43(1):11-21,2023

  • 阿部 公人
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 43 巻 1 号 p. 22-
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    多数のう蝕により咬合崩壊を起こした患者に対し,咬合再構成を行った症例について報告する.患者は,43 歳の男性で,全体的に治療して欲しいとの希望で来院した.診査の結果,上顎前歯部と下顎左側大臼歯部に残根を認め,左側大臼歯部の咬合支持と前歯部での適正なアンテリアガイダンスを喪失しており,咬合平面の乱れも認められた.診査診断をもとに,下顎左側の大臼歯部には自家歯牙移植術を行い,ブリッジによる補綴処置にて咬合支持を確立した.上顎前歯部は,歯肉縁下う蝕により生物学的幅径の侵襲が見られたため,プロビジョナルレストレーションを装着後,歯冠長延長術を行い,歯周組織,咬合の安定について再評価を行った上で最終補綴処置に移行した.治療選択肢に制約がある中で,安定した予後を見込める治療を行うことが出来た.ただし,高いう蝕リスクや移植歯の状況から,今後も注意深くメインテナンスを行っていく必要がある.【顎咬合誌 43(1):22-29,2023

  • 杉山 雄一郎, 松本 篤樹, 溝部 健一, 鈴木 玲爾
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 43 巻 1 号 p. 30-
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】上顎前歯部に審美障害を認める患者に対しデジタルスマイルデザイン(以下DSD)に基づく審美修復を行った.まず,顔面のデジタル情報を元にインサイザルエッジポジションを決定し,顔貌と口唇との調和に対して予後不良歯および既存のインプラント体の埋入方向を考慮し,最終上部構造の設計を行った.【方法】患者は前歯がとれたことを主訴に来院された47 歳,女性.1 の挺出,2 は残根状態により上顎前歯部,歯肉辺縁形態の不揃いによりスマイル時に審美障害が認められた.1 部には22 年前に埋入されたインプラントを認めた.コーンビームCT(以下CBCT)により2 1 の根尖部に透過像を認め予後不良と判断し,1 はインプラントの抜歯即時埋入,即時埋入プロビジョナライゼーション,2 は抜歯を計画し,上顎6 前歯の歯冠修復治療を行うこととした.【結果】DSD を応用して診査・診断を行ったことで顔貌と口唇に調和した上顎前歯部審美修復を行うことができた.【考察および結論】 DSD を応用することで顔貌と口唇に調和した最終補綴装置の形態を考慮したインプラントの3 次元的埋入ポジショ ンの決定ができた.また患者にも視覚的に修復後のイメージを示すことで,治療に対する理解度及び満足度が向上したと考える.【顎咬合誌 43(1):30-39,2023

技術報告
  • 両側臼歯部における4点接触装置の開発
    山口 栄二, 依田 信裕, 小川 徹, 佐々木 啓一
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 43 巻 1 号 p. 40-
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    上下顎無歯顎に対する全部床義歯製作時において,顎堤条件が前後左右で大きく異なる症例,あるいは下顎の偏位に伴い閉口時の下顎位が不安定な症例では,従来の咬合床では適切な咬合採得が困難な場合がある.従来,咬合採得が困難な症例では,ゴシックアーチ描記法や前歯部での咬合接触を排除した蠟堤など咬合床を工夫する様々なアイデアが報告されているが,必ずしも満足できるものではない.筆者らは,咬合採得の困難な難症例に対する咬合採得時の補助装置として,上顎にフラットテーブル,下顎の臼歯部4 点(片側2 点ずつ)に咬合接触を付与したレジン製のオクルーザルジグ(4点ジグ)を考案した.本装置は従来の咬合床の蠟堤部に組み込むことが可能で,咬合採得時に選択加圧状態を再現でき,かつゴシックアーチ描記法に類似した機能を有している.この4点ジグを付与した咬合床を口腔内に装着し,患者を座位姿勢でリラックスした状態でライトタッピングさせて咬合採得した.咬合採得困難な数症例に用いたところ,ほとんどの症例で義歯装着時の調整量が少なくなりチェアタイムの短縮が得られた.【顎咬合誌 43(1):40-45,2023

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