日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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技術報告
全部床義歯の咬合採得の工夫
両側臼歯部における4点接触装置の開発
山口 栄二依田 信裕小川 徹佐々木 啓一
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2023 年 43 巻 1 号 p. 40-

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抄録

上下顎無歯顎に対する全部床義歯製作時において,顎堤条件が前後左右で大きく異なる症例,あるいは下顎の偏位に伴い閉口時の下顎位が不安定な症例では,従来の咬合床では適切な咬合採得が困難な場合がある.従来,咬合採得が困難な症例では,ゴシックアーチ描記法や前歯部での咬合接触を排除した蠟堤など咬合床を工夫する様々なアイデアが報告されているが,必ずしも満足できるものではない.筆者らは,咬合採得の困難な難症例に対する咬合採得時の補助装置として,上顎にフラットテーブル,下顎の臼歯部4 点(片側2 点ずつ)に咬合接触を付与したレジン製のオクルーザルジグ(4点ジグ)を考案した.本装置は従来の咬合床の蠟堤部に組み込むことが可能で,咬合採得時に選択加圧状態を再現でき,かつゴシックアーチ描記法に類似した機能を有している.この4点ジグを付与した咬合床を口腔内に装着し,患者を座位姿勢でリラックスした状態でライトタッピングさせて咬合採得した.咬合採得困難な数症例に用いたところ,ほとんどの症例で義歯装着時の調整量が少なくなりチェアタイムの短縮が得られた.【顎咬合誌 43(1):40-45,2023

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© 2023 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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