日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
新しい咬合概念を応用したアプライアンスの効果
田中 俊樹
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2025 年 44 巻 3 号 p. 315-323

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抄録
近年,咬合と全身疾患の関連性が注目されており,特に咬合の不調和が,顎関節症,頭痛などの全身疾患と深く関連していることが,示唆されている.1990 年代より日本では,世界に先駆け顎関節症の治療対策とブラキシズムに対しての予防装置として,アプライアンス(咬合挙上板,マウスピース,スプリント)による治療が,中央社会保健医療協議会で協議され保険診療報酬点数表に収載された.その結果, 2018 年には,年間約750,000 装置/ 年が処方されている.しかしながら,世界的にコンセンサスを得られたアプライアンスの設計は,存在しない.本医院においては,登録患者17,000 人/38 年の内通算2,000 症例以上のアプライアンスによる治療を行い,装置の改良を続けてきた.2017 年より最終デザインとしたアプライアンスの基本コンセプトは,全顎再構築治療の目標とする「理想咬合」と類似した「各個人の生体機能と調和した咬合挙上装置」とした.これは,無意識下における動的な生理的嚥下機能を営める形態である.この報告では,多くの全顎再構築治療の臨床データを基に, 2023 年のThe Glossary of Prosthodontic Teams と日本の補綴学専門用語集第6 版の不明瞭な咬合に関する専門用語の定義を見直した.また,日米の違いをも検証した.更に,概念数値を用い新しく咬合の基本となる中心位(Centric Relation),中心咬合位(Centric Occlusion),中心位咬合位(Centric Relation Occlusion)の位置を想定し,新しい咬合概念「中心域内機能的調和咬合(Functional Balanced Occlusion within Centric Space)」を提言する.この咬合概念を応用した装置を「CSOアプライアンス」と名付け臨床導入し,この装置の装着前後の患者の病状の変化を分析した.特記すべき結果としては,「頭痛を訴える」181 例の内127 例(69%)軽減.「顎関節に違和感を訴える」206 例の内119 例(58%)の病状が軽減され.「CSOアプライアンス」の有効な効果を認めている.
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