日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸粘液癌術後のドレナージチューブ留置部に播種性転移を認めた1例
前田 和成清水 良一衛藤 隆一小佐々 博明
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2013 年 74 巻 2 号 p. 463-466

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抄録
症例は79歳,男性.2009年10月に直腸S状部癌と盲腸癌の大腸多発癌に対して,低位前方切除術ならびに回盲部切除術が施行された.病理組織診断は直腸S状部が粘液癌,盲腸が高分化管状腺癌であった.粘液癌の悪性度を考慮し,術後補助化学療法としてUFT+LVの内服を行っていた.術後10カ月目のCTで右下腹部の回腸結腸吻合部に嚢胞状の病変を認め,転移性腫瘍もしくは粘液腫を考慮し,2011年2月に前回の吻合部を含めた結腸部分切除術を施行した.病変は結腸内腔とは非連続性で,病理組織診断で粘液癌の転移性病変と診断されたことより,ドレナージチューブ留置部への播種性転移が示唆された.粘液癌は漿膜方向への浸潤傾向が強く,局所再発や腹膜播種が多いとされ,術中操作に細心の注意を要し,再発形式からみた経過観察の計画が必要である.また,積極的な局所コントロールが予後改善につながると思われた.
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© 2013 日本臨床外科学会
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