抄録
【目的】CEJ を超えて垂直的な形成を行い,歯根面上にマージンを設定し,さらに歯肉の意図的クリーピングが得られるBOPT は審美修復に対して優位性が高く,新たな歯冠形成法として2013 年に報告された.【材料および方法】症例1:58 歳女性,審美障害を主訴に来院した.歯肉退縮によって出現したブラックマージンを呈する歯に対して,BOPT を行うことで歯肉の意図的クリーピングによる歯肉辺縁の歯冠側移動を促した.さらに顕著なブラックトライアングルが出現している部位に対して上顎結節部の結合組織を用いた歯間乳頭再建術をおこない,プロビジョナルレストレーションにて審美的な調和が得られたのち最終修復をおこなった.症例2:36 歳女性,前歯部ブリッジの歯肉退縮を主訴に来院した.前医で行ったフラップ手術による顕著な歯肉退縮を呈していたため,ブリッジの支台歯に対してBOPT をおこない,歯肉の歯冠側移動を図った.また,ポンティック部ではプロビジョナルレストレーションにてオベイト(ovate)ポンティック形態を形成したことにより,良好な歯肉形態の連続性が確立できたため,最終修復を行った.【結果】2 症例とも最小限の治療介入で審美的な軟組織マネジメントが可能であり,患者の満足は高く,長期的に審美的に良好な結果が得られた.【結語】BOPT は相対的な歯肉の厚みを増すことができ,さらに軟組織のリモデリングを意図的に起こすことにより,長期的な歯肉の安定が得られる.そのため,審美修復に対して非常に有用なテクニックである.