抄録
目的:現在頻用されている骨吸収活性測定法は,骨組織からのCa2+ 放出量を測るものではないため,直接の骨吸収を測っているとはいえない.本稿では,頭蓋骨片からのCa2+ 放出量を直接測定する骨吸収活性測定法を試みた過去の論文について考察を行った.方法:1991 年千葉大学学位論文リポジトリのデータにて,当時すでに用いられていた骨組織からのCa2+ 放出量を測る骨吸収活性測定法(従来法)とそれを簡便化した測定法(簡便法)の比較を行っている.簡便法とは,頭蓋冠の調整までは従来法に習って行い,さらにこの頭蓋冠をはさみで細かく裁断し,滅菌ステンレスメッシュ(孔径約0.5mm)上ですりこぎを使って骨を摩砕して得られた摩砕片を含めた懸濁液を作成し,これを培養して測定するものである.結果:骨吸収活性測定の経時的変化を追ったところ,従来法では66 時間にて[45Ca]-Ca2+ の放出量が最高値となるが各測定値はばらつきが多く,測定値が高い程その傾向が強かった.これに対し,簡便法では25 時間にて最高値に達し,その後減退していった.高い測定値においてもばらつきは少なかった.骨吸収活性を示す各種ホルモン,サイトカインのそれぞれ至適な濃度のものについても従来法との比較を行い,両者の相関関係を認めた.考察:骨組織を摩砕しこの懸濁液を作成する簡便法にて,組織培養において大きく生じる誤差を少なくすることが可能であることがわかった.結論:簡便法は従来法と同様に骨吸収活性を測定でき,短時間での測定を可能とし,実験動物の数も少なくできるものであった.