抄録
本研究の目的は,チタンの耐食性への加工方法の影響を明らかにすることである.試料は鋳造とインゴットのフライス加工で作製した.浸漬試験は,JIS の耐食性試験法に順じ,乳酸,塩化ナトリウム,人工唾液の3 種類の浸漬溶液を用いた.チタンの耐食性は,CP-MS による浸漬溶液中への溶出元素量の定量分析と浸漬試料表面の色差( Δ E*ab) にて評価した.鋳造チタンからの溶出元素量と色差の値は低かった.その結果,他の歯科合金での腐食挙動とは対照的に,鋳造チタンがフライス加工に比べて優れた耐食性を示した.以上の結果からチタンにおいては,鋳造がCAD/CAM フライス加工と比べ電気化学的安定性を向上させるという結論が得られた.