日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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可撤式歯型を用いた天然歯におけるガイドの傾斜角度とその部位に関する研究
―第1報Class I級歯列について
玉置 勝司藤原 基吉野 正浩木本 克彦
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1999 年 20 巻 1 号 p. 80-84

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抄録

第一大臼歯の関係がアングルのクラス1級である天然歯の機能的咬合面におけるガイドの傾斜角度とその部位が, SAM2咬合器に付着され, 顆路調節された20個の模型から調査された.20名の被験者の顆路が矢状顆路と側方顆路角に従って咬合器を調整するためにコンピュータライズド・アキシオグラフで計測された.下顎模型のすべての歯は一本一本の歯型として取り外せるようにダウエルピンが使用された.最初にガイドする歯型はマークされ, そして除去した.この操作は最後にガイドになり, そしてマークされた歯型まで繰り返した.ガイドの傾斜角度は3Dデジタイザーで計測され, 基準平面はアキシス・オルビタール・プレーンとした.歯のガイドの部位は咬合面マップ状にマークされた.犬歯から第二大臼歯のガイドの傾斜角度は, 左側で42.8°から18.7°, 右側で40.0゜から20.1°で, これは犬歯による順次誘導咬合を示した.
隣在歯とのガイドの傾斜角度における有意差が第二小臼歯と第一大臼歯間を除いて認められた.機能面上のガイド部位の頻度は, 咬合面の頬側咬頭内斜面に観察された.しかしながら, 第一大臼歯のガイド部位は遠心咬頭内斜面に認められた.この結果は, 上顎第一大臼歯における歯冠捻転である遠心咬頭の近心回転によるものである.この研究はクラスI級関係における天然歯がもつ咬合の原則を示している.

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