日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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日常臨床における咬み合わせの改善
菅野 博康
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1999 年 20 巻 1 号 p. 71-79

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抄録

咬合関連の診断機器が開発され, 多くの情報が得られるようになったが, 研究室から診療室にその活躍の場が移るには至っていない.咬合の重要性を十分に理解しながらも, 臨床医が自分の診療システムの中に咬合関連の診断機器を取り入れることのできない多くの理由がある.
高度の咬合関連診断機器がなければ咬合の診断・治療ができないわけではなく, 咬合の診断・治療の基本は咬頭嵌合位の評価にある.口腔内や診断用模型を咬合器に装着して得られる情報は多く, 重要でもある.生理的に安定した下顎位と咬頭嵌合位の関係を知るためには, 再現性の高い咬合採得法が必要となり, 一連の咬合診断・治療の流れの中でも同一下顎位の再現が重要で, 咬合採得が咬み合わせの改善のkeyとなっている.咬み合わせの改善は, 咬合崩壊の治療であり, また口腔健康維持のための予防処置と考えることもできる.機会があって, 最少の処置で咬み合わせが改善し安定が得られるものであれば, その機会を無駄にしないことを考える必要がある.

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